FC2ブログランキング!   ( ・∀・)<エロいな自分のクラスでバトロワする妄想した奴ちょっとこい 2
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自分のクラスでバトロワする妄想した奴ちょっとこい 2
134 :平核無:2007/01/07(日) 17:35:23.47 ID:s936oG6t0

<突然>
「でさ」
 直ちゃんが呟く。
「3階が禁止エリアになるっぽいんだけど」
 おいおい。私も聴いてたからそんくらいわかるよ。
「私達は2階なんだから大丈夫でしょ」
「美術室って暖房入ってないから、寒いんだよねー」
「直ちゃんいちいちうるさい、殺すぞ」
「その言葉が本当に思えて困る」
 直ちゃんは窓の外に目をやる。
 辺りはすっかり明るくなったが、外の通りには人っ子一人歩いていない。
 おそらく封鎖かなにかされているのだろう。
 で、私はなんで直ちゃんと一緒に居るのか。
 それは、偶然C階段で鉢合わせてしまったから。 
 ノリで銃をつきつけてしまった。
 直ちゃんはおそらく人を殺すことなどできまい。出来るはずが無い。
 だって、あの直ちゃんだからね。
 だから私も殺す気は、ない。
 銃をポケットにしまった。
「ミキカ、俺さ」
「ん? 何?」
「髪洗うわ」
「……勝手に洗って来い」



135 :平核無:2007/01/07(日) 17:35:43.45 ID:s936oG6t0
補足:直ちゃんはAB型

136 :平核無:2007/01/07(日) 17:36:01.76 ID:s936oG6t0
 直ちゃんは美術室の水道に向かってヨタヨタと歩いていった。
 私達が殺しあっているという実感が沸かない。
 だがさっき放送ではすでに7人が死んでいた。
 ユカはともかく、凌やはるなまで死んでいる。きっと、この殺し合いに乗り気な奴がいるに違いない。
 そういう奴らには、警戒しなければ。
 でも、もし万が一最後まで生き残ったとしても、私は直ちゃんと殺しあわなければならなくなる。
 ……どうしよう。
「ミキカ、タオルとか持ってない?」
「持ってないよっ!」
 ま、その時考えれば良いか。
 私は美術室の自分の席に座った。 
 
 気配を感じた。
 誰かに見られている。直ちゃんじゃない、誰かに。
 私は周りを見渡す。
 直ちゃんが髪を整えている。それ以外に人はいないはず。
 なのに、何で気配を感じるのだろう。
 ぐるっと辺りを見渡した時、美術準備室の方へ目がいった。
 目が合った。
 琢磨が、こっちを見ている。



137 :平核無:2007/01/07(日) 17:36:28.84 ID:s936oG6t0

「直ちゃん伏せて!」
「え? 何々?」
 直ちゃんがこっちを見る。
 畜生この緊急事態になにお気楽やってんだよ!
 私はポケットから銃を抜き、引き金を引く。
 目の前を、何かが通過した。
 それは、矢……小さい矢。
 
「うっ」
 小さな声と共に、倒れた。
 直ちゃんの首に矢が刺さっていた。
 白い肌に赤い血が流れ、血の存在を際立たせていた。
「ち」
 舌打ちの音が準備室から聞こえる。
 私に当てるつもりだったらしい。私は撃った。撃った。何発も撃った。
 ガラスも割れ、準備室のドアがボコボコになった。それでも撃ち続けた。
 目からは、涙がこぼれる。怖い。
 人の死体を、初めて、生でみた。怖い。殺される。殺されるかもしれない。
 そこにはもうすでに人がいないとわかったのは、銃に補充してあった弾が無くなった時だった。



138 :平核無:2007/01/07(日) 17:36:50.75 ID:s936oG6t0
 直ちゃんはすでに死んでいた。当たり前か。
 矢が首にささって、ただでさえ赤い床が、こんなにも赤くなって。
 目は、半開きになっていた。ポカンとした表情。
 私は自分のリュックを片手に持つ。直ちゃんのリュックの中のパンとボトルも取り出し、自分のリュックに写す。
 ……タオル、あげれなくてごめんね。
 直ちゃんのまぶたを、私はそっと閉じさせた。
 首から血が出ている以外は、寝ている直ちゃんだ。

 涙が、こぼれた。

 【27人】



139 :平核無:2007/01/07(日) 17:37:21.59 ID:s936oG6t0

<苛立>

 畜生。岩崎殺し損ねたじゃねぇか。
 あいつは殺しときたかった奴ナンバー2くらいに入るのによ。
 琢磨はの美術準備室から廊下に出た。
 誰も居ないように思えるが、注意しなければならない。
 誰がどこで俺を狙ってるかわからない。俺は不良だから当然馬鹿な奴らの恨みを買ってるに違いないのだ。
 とりあえず辺りを見渡す。誰も見当たらない。
 ほっとして少し小走りで後ろの扉から2年4組へ入った。
 雑然と並ぶ机。琢磨はすぐさま伏せる。人が居たら間違えなく殺されるからだ。
 伏せていればまず銃弾は当たらない。だが物音一つしないので、やはり誰も居ないのかと思う。
 恐る恐る立ち上がる。
 誰も居ない。良かった。これで少し体力を回復することができる。
 琢磨は真ん中の机の上に座った。そこで一息ついた。



140 :平核無:2007/01/07(日) 17:37:54.49 ID:s936oG6t0
補足:1年生の教室は1階
   2年生の教室は2階
   3年生の教室は3階



141 :平核無:2007/01/07(日) 17:38:30.46 ID:s936oG6t0
<初見>
 ……いや、ちょっと待って。
 どうしよどうしよあたし琢磨に殺されちゃう。こりゃ冗談抜きにやばいって。
 小原千明は、焦っていた。
 2-4組で目覚めてから、ずっとボケーっとしていた。
 寝たり、起きたり、寝たり、起きたり。その繰り返し。
 それが一番安全だから。誰とも会わない。誰とも話さない。
 2階が禁止エリアになるのも明日のこと。だからそれまではここでゆっくりしていよう。
 そんな考え。敵がくるなんて微塵も考えていなかった。
 どうしよう。
 リュックを意味も無くごそごそと漁る。
 ……何これ?
 黒い…チョッキと紙切れ。
「防弾チョッキ」
 そうか。これを着れば、琢磨が発砲してきても助かるということか。
 ……本当にそう上手くいくのかね。
 千明は教卓の下に隠れながら、音もなく防弾チョッキを着る。
「誰か居るのか?」 
 気付かれた。無音の室内では少し音がしただけでも気付かれる。
 琢磨が辺りを見渡している。うわ身動き取れないよ。千明は教卓の下のスペースで身を強張らせる。
 ……でも、もし琢磨が私の顔に発砲してきたら?
 どうしよう? ……死ぬじゃん。
 体が震える。体が強張る。こんなに体が震えたのは、生まれて初めてかもしれない。



142 :平核無:2007/01/07(日) 17:38:47.78 ID:s936oG6t0
「誰か居るのはわかってるんだぜ」
 琢磨がこっちに近づいてくる。そして乱暴に教卓を蹴った。
「ひっ!」
 思わず悲鳴を漏らす。……終わった。
「……そこに居るのかっ!!」
 琢磨は教卓を思いっきり蹴る。体に振動が走った。千明は急いで立ち上がる。
「小原か…」 
 琢磨はニヤッと笑う。
「俺今獲物をとり損ねてイライラしてんだ。不運だったな」
 あいつがなにか言っているが、そんなの聞こえない。
 必死だった。頭の中が真っ白とはまさしくこのことをいうのであろう。
 次の瞬間、琢磨の体が床に押し倒される。 
「死ね! 死ね!! 死ね!!!」
 頭で考えるよりも先に体が動いていた。
 琢磨の体を押し倒し、そして首に手をかけて首を絞める。
「グ、な、止めろ…!」
 片方の手は千明の手を振りほどこうと、もう片方の手はポケットの中を弄っている。
 ……早く死んで。早く死んで。じゃないとあたしの命が、危ない。
 千明はさらに手に力をこめた。助かるために。
 まだ、生きたいから。
「や……めろ……」



143 :平核無:2007/01/07(日) 17:39:08.66 ID:s936oG6t0
 
 どのくらいたっただろうか。
 スゥ、という空気が抜けるような音。
 白目を向いて、琢磨の首が下にダランと垂れ下がった。
「はぁ……はぁ…」
 死んだか。私……勝ったのか…
 千明はその場にへたりこむ。
「人……殺したんだ…」
 私、人を殺したんだ。
 ワタシ、ヒトヲコロシタンダ。
 
「あああああああああああああああああああ!!!」
 嘘だ、嘘でしょ、いや仕様がなかった。あの状況だとワタシが死んでた。
 抵抗しないと確実に昇天してたっ!
 でも人を殺したと言う事実に変わりは、ない。
「……これは、夢だ。これは、夢だ。これは夢だ。これは、夢だ。これは、夢だ。これは夢だ。これは夢だ」
 うわ言のように繰り返した。
 これは、夢なんだ。だから早く醒めてくれ。
 明日から冬休みが始まるんだ。
 口から泡を吹いている琢磨。



144 :平核無:2007/01/07(日) 17:39:50.93 ID:s936oG6t0
 ねぇ、夢でしょ。これは、夢なんでしょ?
 誰か教えてよ! これは夢だよ!!
 嫌だよ、嫌! 誰か助けて! 遠藤!!

 【26人】


追記:俺のクラスに山田は居なかった



146 :平核無:2007/01/07(日) 17:40:14.37 ID:s936oG6t0
<天才>
 
「水上琢磨が小原千明に殺された」
 館入が呟く。
「え? あの空手やってる琢磨がチビの小原に殺されたの?」
「殺し合いってのはどんなことでも起こる」
 前田は館入のパソコンを改めて凝視する。
 3年2組35人の名前がアルファベットで表示されている。
 その中に、takuma mizukami dead AM9:02 by tiaki obara という行があった。 
 全員の名前がローマ字で表示されていて、誰が死んだか、いつ死んだかがわかるようになっていた。
「……つくづく思うよ館入。お前って、天才だな」
「いや全然」
 館入はそっけなく答える。さっきからキーボードをせわしなく打っている。
「この首輪は常に電波を発している。だから俺がそれを解析するプログラムを作って、それぞれの居場所を表示してる」
「……そんな淡々というけど、やっぱすごいよお前」
「いや全然」
 正直、館入は怖い。
 仲間にいるからこそ頼もしいが、敵に回していたらとても厄介だろう。
 容赦なく殺しそうだし、計算しつくした作戦で挑んでくるだろう。
 でも今は仲間。頼もしすぎる。
「よし。盗聴ソフト完成」
 館入は人差し指でエンターキーを押す。
「と…と、盗聴?」
「うん。盗聴」



148 :平核無:2007/01/07(日) 17:41:57.70 ID:s936oG6t0
 館入は前田の方を向く。少しだけ微笑んでいた。
「どういう仕組みで、何を盗聴するんだ?」
「この爆弾つき首輪にはマイクがついてる。その電波を乗っ取れば、好きなときに好きな奴の声が聞こえる」
 館入は前田のPSPを引っ手繰る。
「ちょ、何するん…」
「今このソフトを前田のPSPに移す。そして3階が禁止エリアになった後も使えるようにする」
 館入はUSBケーブルをどこからともなく取り出すと、PSPに接続した。
 そしてヘッドホンも取り出す。こいつのリュックは四次元ポケットか?
「少し時間がかかるから、盗聴のチェックでもしといてよ」
「お……おお」
 少し展開についていけなくなりかけた。館入って本当にすごいんだな。前から不思議な奴とは思ってたが、まさかここまですごいとは。
 前田はヘッドホンを頭にかける。
「誰の様子が知りたい?」
「ん……誰にしよっかな」 
 前田は少し考え込む。
 真っ先に浮かんだのは、友也だ。
 友也は今、何をしているのか気になった。
 だがあいつのことだ。黙ってどこかに隠れているのかもしれない。
 盗聴の意味がそれではない。
 ならば……誰でもいいや。誰でも。
「館入の好きな人でいいよ」
「了解。じゃ、適当に」
 
 これは、……誰の声だ。
 女子同志で話をしている。



149 :平核無:2007/01/07(日) 17:42:48.00 ID:s936oG6t0
追記:男子名簿に館入忘れてた


<平和>
「これで誰も入ってこれないね、尚美ちゃん!」
「そうだね」
 快活な声。川原瞳はいつだってそうだ。
 八方美人。誰にだって話を合わせることが出来る。それが彼女のすごいところ。
 私にはとてもではないが、出来ない。
「うん。このバリケードを張るのは時間がかかったよ」
「ひっと! ちょっと休憩しない?」
「わかった!」
 私と瞳は、2階保健室にバリケードをはって、立てこもっていた。
 最初は保健室の向かい側にある大きい会議室で私が震えていたところに偶然にも瞳が訪ねてきてくれた。
 そして保健室に移動。あそこはシップや包帯、治療するための道具がたくさんあってとても便利だ。
 明日までここは禁止エリアにはならない。ならばいっそここに立てこもればどうだろう?
 そんな考えを私が提案すると、瞳は
「お! 尚美ちゃん頭良すぎるよ!」
 と快活に笑った。そして今に至る。
 ドアの前には身体測定の時に使う体重計、身長測定機、座高測定機。
 それに冷蔵庫やベッドの一個までごちゃごちゃと置かれている。
「これで絶対敵は入れないよ」
「でもさ、ひっと」
「ん?」
「私たちが出る時はどうするの?」
「………ま、どうにかなるって!」



151 :平核無:2007/01/07(日) 17:43:15.84 ID:s936oG6t0
 瞳は笑ってごまかした。嗚呼。普段の教室で話してるみたいだ。
「私たちさ、殺し合いしてるって実感がわかないよね」
「うん……確かにね」
 私は瞳と一緒に少しだけ笑い合う。
 本当に実感が沸かない。
 昨夜に保健室に来てから、ちゃんと睡眠もとっているし、ケガもしていない。
 私たちがまったりと時を過ごしている間にも他の皆は殺し合いをしているんだ、と考えると少し複雑な気分になる。
「ところで尚美ちゃん、武器なんだった?」
「え?」
 予想外の質問に、私は少し驚く。
「私は、地雷二個。こんなのどうやって使うのか、わからないよね」
「えっと……ちょっと待って」
 そういえば、私のカバンは他の人より少し……いや数段大きい。
 吹奏楽でチューバを入れる袋がある。それくらい大きい。
 一体なにが入っているんだろう。私は怖さと好奇心が入り混じった気分で鞄を開けた。  
「何これ……大きい」
「え? え? うわ、おっきい!尚美ちゃんこれすごいよ!」
 鞄の中に入っていたのは、とても大きい銃だった。
 抱えないと撃てないし、とても重い。 
「これって、たぶん一番強い武器じゃない?」
「えへへ、そうかな」
 私は何故か少し照れる。そりゃそうだろう。
 こんな大きくて破壊力もありそうな銃、そんなにあるもんじゃない。



152 :平核無:2007/01/07(日) 17:43:43.24 ID:s936oG6t0
「尚美ちゃん、その銃すごいねー! 私感激しちゃったよ!」
「そんなに感激しなくても良いと思うんだけどな…」
 瞳は少しのことでも大袈裟にリアクションする。それが皆から好かれるコツかもしれない。
「もっと近くでみたいな。尚美ちゃん、その銃とって」
「え、うん。わかった」
 銃を持ち上げる。結構な重量だ。
「じゃ、重いから気をつけてね」
「うん、わかってるわかってる」
 瞳は笑顔で銃を受け取る。だがその重さに驚いた顔をした。
「あ、本当だ。めちゃ重たいよ!」
 瞳と私は顔を見合わせる。そしてまた笑う。
 平和だ。殺し合いなんて、無いみたいだ。
 もしかしたら、私たち生き残れるかもしれないな。
 2人で生き残って、瞳は頭が良いから2人で生き残れる方法を考えて、実行するの。
 そしたら来年もまた2人で面白い話が出来るのにな。
 
 突然、鋭い音が室内に響いた。
 
 目の前が、真っ暗になった。



153 :平核無:2007/01/07(日) 17:44:03.21 ID:s936oG6t0

<残酷>

「悪いねー尚美ちゃん」
 私は渋谷の体を見る。
 粉々。そんな言葉がぴったりだ。体が、ない。ばらばらに割れた破片みたいだ。
 この銃、どんだけ威力があるんだ。私も反動で椅子から落ちてしまった。
 ……うわ。これはインパクトが強いな。ちょっと吐きそうだよ。
 首だけはそのまま。床に転がっている。
「幸せそうな顔だね、尚美ちゃん」 
 私はその首を蹴ってやる。即死か。ごく普通の表情。それが逆に気味が悪い。
 恨まないでほしいな。この密室で確実に相手を殺せるとわかったなら、誰でも絶対に殺すよ。
 今、私たちは殺し合いをしているの。それを忘れていた渋谷が悪いんだから。
 最初から私は渋谷を捨て駒程度にしか思っていなかった。
 二人で居ればそれなりにあいつは協力してくれるし、いざと言う時の盾にもなる。  
 こういう時のためにも、友達というものは作っとくべきだったな。
 
 制服が血と肉でどろどろになった。着替えよう。
 私は吐き気を堪えながら替えのジャージが入っているタンスを開けた。
 
 【25人】



154 :平核無:2007/01/07(日) 17:44:25.04 ID:s936oG6t0
 
<恐怖>
 
「前田、インストール終わったぞ。PSP返す」
 館入の声で俺は我に返った。
 怖い。怖すぎる。あんな奴だったっけ川原って?
 ……ものすごい銃声がした。何かが飛び散る音。
 その後、川原が「悪いねー尚美ちゃん」と呟いた。
 そこで俺は耐えられなくなってヘッドホンを外したんだ。
「どした前田? 具合でも悪いか?」
 館入が俺の顔を覗き込んでいる。
「いや……別に」
「さっきまで川原のマイクをonにしていたが、そのせいだろ」
 図星。
「別に驚きもしないだろ。最初から川原はあんな奴だったんだからな」
 まだ鼓動が収まらなかった。しばらく身動きがとれなかった。
 これが……殺し合い、か。友也はまだ生きてるだろうか。
 
 俺はPSPの画面を見る。もうそこには館入が操作しているPCと同じ画面が映っていた。
 tomoya komatsu 大丈夫だ。まだ死んでいない。ほっとした。
「おい、あと1時間でここ禁止エリアになるから移動するぞ前田」
「うん、わかった」
 館入の声に、俺は出来るだけ明るく対応する。
 大丈夫。館入と居る限り、絶対俺は死なない。確実に生き残れる。
 心の中で少し笑うと、俺は出口へ向かった。
「アホ。さっきも言っただろ前田」



155 :平核無:2007/01/07(日) 17:44:57.10 ID:s936oG6t0
館入の感情の篭っていない声。俺は振り向く。
「B階段は人がいる可能性が極めて高い。C階段なら人のいる確率は20%弱。C階段側の出口から出るぞ」
「わ、悪い」 
 さっきから俺、館入に圧倒されまくってるな。
 少し恥ずかしい思いがこみ上げて来た。違う出口に向かっている館入を小走りで追いかけた。
「あ、それとさ」 
 館入が前を向いたまま呟くように言う。
「さっき蔵根佑が益田奈央に殺されたよ」
 一瞬、ほんの一瞬だが目の前が真っ暗になった気がした。
 急いでPSPを確認する。
 
 yu kurane dead AM 10:47 by nao masuda
  
 tomoya komatsu と書かれた上にそう表示されていた。
 
 【24人】



156 :平核無:2007/01/07(日) 17:45:37.12 ID:s936oG6t0
<実感>
 何故だろう。何故何も感じないのだろう。
 人を、殺したのに、何故私は平然としていられるのだろう。
 私は蔵根の死体に突き刺さった鎌を抜く。血が溢れ、私の制服にもべったりとこびりつく。
 ……おかしい。私はおかしいのか。
 自分が怖いほど冷静だ。
 今までの出来事を思い返してみる。
 体育館の横の女子更衣室からすぐ前の水飲み場に行った。
 ペットボトルの水が切れ、とても喉が渇いたのだ。
 敵が居るかもしれないとかそんなことは考えてなかった。 
 むしろ、この水飲み場は死角だ。目立たない。
 私は堂々と更衣室から出て、水飲み場で水を飲んだ。 
 まずかった。一日だしていない水は、鉄のような味がする。
 それでも喉が渇いていたので、たくさん飲んだ。
 飲み終わり、私は鏡で自分の顔を見る。
 いつもの私。益田奈央だ。
 ……桂湖は今何してるだろう? まだ生きてるかな。
 朝の放送では桂湖の名前は読まれなかった。
「まだ生きてるよ。彩那と合流して、なんとかやってるよ」
 私は鏡の自分に言い聞かせる。
 そしてものすごく驚いた。



157 :平核無:2007/01/07(日) 17:46:07.97 ID:s936oG6t0
 鏡に、男が映っていた。
 背後に、蔵根が居たのだ。
 そこから記憶が曖昧になる。格闘したような、しないような。
 何故かその時武器である鎌を持ってたので、蔵根の体のどっかに突き刺したら倒れた、と思ったんだけどな。
 蔵根が首を絞めてきたような気もする。だが定かではない。
 曖昧だ。
 本当に私が殺したのは、蔵根なのか。
 私はもう一度死体を確認する。
 女っぽい顔つき。まぁまぁのルックス。蔵根だ。間違いない。
 死体の匂いがだんだんきつくなってきた。
 とにかく、こんな水飲み場の狭い空間で殺しあったなど信じられない。
 血が上履きを赤く染めている。赤いというより、黒い。
 理科で二酸化炭素が一杯の血液は黒くなると教わった。
 死体というのは、気持ち悪い。ここに居ると欝になってくる。
 私は移動することにした。
 ……桂湖でも、探そうかな。



158 :平核無:2007/01/07(日) 17:46:51.27 ID:s936oG6t0

<状況>

 よく考えろ、僕。
 一番の危険人物は誰だ、よく考えろ。
 そいつの位置を把握しておく必要がある。
「コウタ、さっきから2時間くらい地図見てるけどさ、何か面白いことでもあんの」
 ……ったく、何て気楽な奴なんだ。口からため息が漏れる。
「全員の位置をだいたい把握しようとしてるんだよ」
「へー。コウタえらいね」
「いや、えらいとかそういう問題じゃなくて」
 5組に来てからずっと誰がどこにいるかを大会規約の裏に書き殴っていた。
 だが2時間もすると場所が変わってくる奴もいるし、死んだ奴も2、3人居た。
 渋谷や直ちゃん、蔵根はともかく、琢磨が死んだのは少し驚いた。
 あいつは確か空手を習っているし、直ちゃんを殺したのも琢磨だ。
 何か協力な武器を持っているのかも知れない。
 だが、それ以上に驚いたのが琢磨を殺したのが小原だったという点だ。
 一体どんな武器を持っているのだろう?
 僕は蔵根の文字の横にバツ印をつけた。
「へー、コウタよくそんな面倒臭いことするねー」
「いや、僕お前とは脳の構造が違うから」
「そりゃそうでしょ。脳の構造が同じ人なんていないから」
 表情を変えずに沙耶は言った。
 遠藤は感情をあまり表情に出さない。
 特に怒りの感情。たまにあいつが何を思っているのかわからなくなる時がある。
 とにかく、普通の女子とは少し違うのだ。遠藤は。



159 :平核無:2007/01/07(日) 17:47:16.69 ID:s936oG6t0
「お、すごいすごい。こんなによくまとめたねー」
「たった今完成したとこだよ」

 ケイゴ:説明の時死亡
 蔵根:男子更衣室→女子水のみ場→死亡
 小松:1年3組
 直ちゃん:美術室→死亡
 近藤:2階給食室  
 スケショウ:6組→死亡
 タカちゃん:栄光の間
 
「栄光の間って、あのトロフィーがあるところだよね」
 遠藤は紙を見ながら僕に問いかける。
「たぶんね」
「いいな、私もそこで目覚めたかったな」
「確かにあの寒い部室よりは良いかもしれないね」
 遠藤は少しだけ笑う。
「それと、直ちゃんと近藤が逆だよ」
「……あ、間違えた……」



160 :平核無:2007/01/07(日) 17:47:33.99 ID:s936oG6t0
 カズマ:コンピュータ室→第二美術室 
 拓朗:左の理科室→手前の相談室
 前田:コンピュータ室→第二美術室
 タマハシ:  

「ねぇ」
「また出席番号間違ってた?」
「いや、そうじゃなくて」
 紙から俺の方へ視線を移動させた。
「マタマのところ空欄なんだけど」
「え?」
 忘れてた。確かタマハシは見当たらなくて保留にしておいたんだった。
 死んでないし。死んでたとしても下の分数と数が合わないし。
 あとでもう一回探してみるか。
「玉橋ね、保留にしといたんだ。見当たらないから」
 遠藤はもうすでに紙の方に視線を映していた。



161 :平核無:2007/01/07(日) 17:47:58.36 ID:s936oG6t0
マミ:左の理科室→手前の相談室

「マミは拓朗と行動してるわけか」
「うん。何でだろーね。あの二人が一緒に行動なんて、少し不思議」
「いやそうでもないよ。マミと拓朗って案外仲いいじゃん」
 ……そういわれてみればそうかも知れないな。
 拓朗とマミが喧嘩しているのはあまり見たことが無い。
 
 凌:死亡。場所不明
 タクマ:美術準備室→2年4組→死亡
 岩崎:美術室→視聴覚室
 植木:1年4組
 遠藤:5組

「コウタ、遠藤のことまで書いてるんですか」
「……いちいちいいだろそんなこと」
「へへへへ」
 なんか照れくさいような顔をしている。
 よくわからない。



162 :平核無:2007/01/07(日) 17:48:20.78 ID:s936oG6t0
小原:2年4組→2階廊下(保健室前)
 
「え? チャーキ廊下に居るんだ!」
「廊下って言っても保健室と放送室前のへこみだよ」
「でも危ないよ。昨晩放送室で……」
 遠藤はそこで言葉を切った。そしてまた紙を見た。
 少しだけ心が痛くなった。

 潟端:2年2組
 瞳:保健室
 佐藤知香:2年2組
 佐藤美咲:金工室
 ユカ:放送室→死亡
 渋谷:保健室→死亡
 みさき(祐):印刷室

「ねェコウタ」
「……お前は黙って読めないのかよ」
「印刷室ってどこ?」
「あの相談室が2部屋ならんだ一番奥にある部屋だよ」
 遠藤は曖昧な相槌を打つ。



164 :平核無:2007/01/07(日) 17:49:25.59 ID:s936oG6t0
 
 高田:職員室
 瀧口:音楽室
 竹原:2年2組
 坪田:死亡。場所不明
 中尾:死亡。場所不明
 長谷:2年2組
 奈央:女子更衣室→音楽室前廊下→木工室
 渡部:教官室
 和田:死亡。場所不明
 
「私の友達が二人も死んでるよ」
 遠藤の感情が篭っていない声。 

 正午12時のサイレンが鳴り響く。
 同時に、放送が入った。



165 :平核無:2007/01/07(日) 17:49:49.18 ID:s936oG6t0

<微笑>
 
「あと5分で3階が禁止エリアになるぞ」
 放送。先生の声。そっか、もう12時か。
 横では奈々子ちゃんが足を伸ばして座っている。
「チホちゃん」
 私は横を向く。
「あたし、良いこと考えたよ」
 何だろう。何をする気だろう。
「こいつら、3階に捨ててこよう」
 
 前では佐藤知香と潟端翔が気絶している。
 5分前くらいに私がスタンガンで気絶させた。
 かなり危険な任務だった。2年2組にこっそり侵入。気付かれないように忍び寄り、スタンガンで気絶させた。
 奈々子ちゃんの持っているサーベルは、殺傷能力こそ高いものの外れれば相手に反撃される恐れがある。
 その点スタンガンは一発で相手を気絶させられるという利点があった。
 それにしても奈々子ちゃんは恐ろしい。



167 :インフルエンザ:2007/01/07(日) 18:05:17.80 ID:PE8ob2tK0
面白いなwwwwwwwwww


168 :えのきだけ:2007/01/07(日) 18:06:07.34 ID:aNo/rtD1O
読んじゃう


169 :みょうが:2007/01/07(日) 18:11:16.96 ID:R6cEdjsQO
痛さMAX
面白さMAXだな


170 :ハウスすいか:2007/01/07(日) 18:19:43.40 ID:YzSusKrG0
つづきキボンヌゥ


171 :鮑:2007/01/07(日) 18:27:38.60 ID:R6cEdjsQO
期待age


173 :みょうが:2007/01/07(日) 18:35:11.66 ID:R6cEdjsQO
山田にしとけば規制にはかからなかったかな…


174 :生しいたけ:2007/01/07(日) 18:36:26.95 ID:cQaNH1e40
>>173
そっちかよwww


179 :根しょうが:2007/01/07(日) 19:23:04.05 ID:Wzdw8FJEO
中学の時クラスの腐女子(ドン引きするレベルのキモブサ)がバトロワの小説書いてた

内容は主人公(本人)を巡ってジャニーズ事務所の連中が殺し合う話
「お願い翼くん!アタシに構わず逃げて!!」
とか書いてたのを見て死にたくなった

しかもエロシーン満載で嘔吐した



182 :蜜屋:2007/01/07(日) 19:52:18.46 ID:s936oG6t0
今帰ったっす

お待たせしました



183 :しゅんぎく:2007/01/07(日) 19:53:03.64 ID:R9FHhnG40
いや、そんな待ってないけど


185 :蜜屋:2007/01/07(日) 19:54:12.03 ID:s936oG6t0
>>183
サーセンw
それでは続き行きます。



186 :蜜屋:2007/01/07(日) 19:55:07.03 ID:s936oG6t0
先ほどからどうやってこいつらを殺そうかと涼しい表情で考えている。
 ちなみに知香と翔ちゃんを殺すのを提案したのも奈々子ちゃんだ。
 ついていけない。この人には。

「そこのテレビ置く台に二人を載せるよ」
 奈々子ちゃんは教室の前方を指差す。
 何故かそこには保険や理科の授業の時たまに使うテレビとその台車があった。
「うわ、こいつ重いなぁ。チホちゃんそっち持って」
 私は知香のほうへ歩み寄る。……いきなり起きたりしないだろうか? 
「念のためにもう一回スタンガンやっといてよ」
 まるで私の心を読んだかのようだ。私はそれに従う。
 もし従わなかったならば、何をされたものかわかったものじゃない。
 殺される。サーベルで、切り殺される。そして捨てられるだろう。
「いや、やっぱり良いや。チホちゃんストップ」



187 :1:2007/01/07(日) 19:55:38.44 ID:s936oG6t0
 私の視界に、銀の塊が顔を現す。背中に毛虫が這っているような寒気がする。
「もう時間が無いから、私が殺しちゃうね」
 奈々子ちゃんは微笑む。満面の笑み。
 微笑みながらサーベルを勢い良く振り下ろした。
 見ていられなかった。後を向いた。
 バケツから水がこぼれたような音がした。
 足音が、私の後ろを通過した。おそらく翔ちゃんも殺すのだろう。
 少しの間が空き、やはり水が飛び散る音。酷い。酷い。酷すぎる。
 腐った肉のような匂いが鼻を突く。吐きそうになる。
「ねぇ、臭いから窓からこの死体なげるよ。チホちゃん手伝って」
 手伝わなければならない。
 スタンガンをポケットにしまい、恐る恐る後ろを向いた。
「うん。わかった」
 出来るだけ明るく返答した。
 奈々子ちゃんは笑っていた。
 私も笑った。
 足元が、赤かった。
 人形のように、死体が2つ転がっていた。

 【22人】



188 :1:2007/01/07(日) 19:56:21.90 ID:s936oG6t0
 
<変化>
「お、あと5分で3階が禁止エリアか」
 放送の後、拓朗が呟いたので、俺は時計を見る。
 正午12時ちょっきり。あと5分で3階が禁止エリアになる。
 何気なく首輪を触った。冷たい鉄の感触。
「まさかこんな時に3階に居るお馬鹿さんは居ないよな、マミ」
「わかんねぇぞ、案外鈍い奴は3階で寝てたりするんだ」
 拓朗は寂しげに笑った。彼はあまり気分が優れないようで、顔色が悪い。
 ま、俺もそんなに気分は良くない訳だが。
 気分が良いやつなんて、居るわけ無いよな。俺らは今殺し合いをしているのだから。
「マミ」
「ん?」
「俺、ちょっと便所行ってくる」
 拓朗は相談室の座り心地の良い椅子から立ち上がる。
 怒られる部屋なのに座り心地が良い椅子を置く学校の意図はよくわからない。
 俺も今行っとくかな。一人で行くのも少し怖いし。
 何があるかわからないし。
「拓朗待って。俺も行く」
 俺は拓朗を呼び止めて、一緒に部屋から出た。



189 :1:2007/01/07(日) 19:57:17.00 ID:s936oG6t0
 職員便所は、狭い。
 当たり前といえば当たり前だ。職員しか使わないのだから。
 だが助かった。相談室の隣にあって、3歩も歩けば到着する。
 俺と拓朗は無言で用を足した。便所のなかは少し冷えた。
「おいマミ、手洗わないのか」
 便所から出ようとすると、拓朗が俺を呼び止めた。
「実はな、俺便所で手を洗う習慣が無いんだ」
「汚ねぇな。それだからモテないんだぞ」
「余計なお世話だ!」
 俺も拓朗も少しだけ笑った。
 気分が、ちょっとだけ和んだ。
 
 何気なく便所から出た。
 廊下はストーブが入っているらしく、暖かい。
 殺し合いの時にストーブをつけるなんて、学校側はサービスが良いな。
「マミ! 避けろ!」
 背後で叫び声が聞こえた。
 とっさに体を職員室側の壁に寄せる。そして後を振り向いた。



191 :1:2007/01/07(日) 19:58:15.96 ID:s936oG6t0
「その前に私がお前を殺すけどね」
 叫びもせず、怒鳴りもせず、静かにそう言ったが早いか、スケミは状態を低くした。
「避けろ!」
 叫ぶことしか出来ない自分が恨めしい。だが怖くて足が動かない。
 拓朗は完全にスケミの動きに翻弄されていた。素早くスケミが拓朗に近寄る。
「さよなら」
 刀を振り上げ、スケミは呟いた。拓朗が、死ぬ。
 何でお前はそんなに淡々と人を殺せるんだよ?
 畜生、足が動かない。周りの風景がスローモーションに。
 刀が、ゆっくりと拓朗の肩に振り下ろされる。
 
 銃声。 
 職員便所の、ガラスが割れた。



192 :1:2007/01/07(日) 19:58:42.08 ID:s936oG6t0
 ガラスの破片が飛び散る。俺はとっさに手で顔をかばう。
「……痛っ!」
 高い声。ガラスの破片で、拓朗の顔のところどころから血が出ていた。
 だが、その声は拓朗ではなかった。拓朗はポカンとした表情で前を見ていた。
 足元に、スケミが肩を抑えてうずくまっている。
 血が、俺の上履きに流れてきていた。
 スケミの表情は、見えない。だが相当痛がっているに違いない。
 呻き声が細切れに耳を突いた。
「マミ、けがとかしなかった?」
 また高い声。職員便所の方からだ。
 ガラスの割れた扉が開く。
 銃を持って姿を現したのは……こいつが。
 こいつが、スケミを撃ったのか。
 
 真玉橋光が立っていた。少しだけ怯えたような表情で。

「うわ……ミサキに当たっちゃったか」
 俺の足元でうずくまっているスケミを一瞥し、マタマは俺に近寄る。
「お互い生きててよかった、マミ」
 状況が、理解出来なかった。



193 :1:2007/01/07(日) 19:59:14.41 ID:s936oG6t0
<献身>
    
 
 僕が目覚めたのは、あろうことかA階段手前の2階廊下だった。
 今までの展開、ケイゴが殺されて殺し合いをするとかいうのは夢かと思った。だが違った。
 大会規約とかいう紙の入ったリュックがすぐそばに転がっていたから。
 
 直感で、こんなところに居たら殺されると思い、すぐそばの職員便所に駆け込んだ。 
 怖いので明かりをつけ、個室に逃げ込む。
 1時間くらい怯えて過ごしたが、幸いなことに誰もこない。なので僕は寝た。リュックを枕にして。
 次起きるのが拓朗とマミの話し声でとは、想像もつかなかった。
 声を出してマミ達と合流したいという思いと、殺されるかもしれないという恐怖。
 考えているうちに結局マミと拓朗は出て行ってしまった。
 畜生、僕の馬鹿。おそらく2組で一番気が弱いのは僕だ。
 こんなんだから近藤や岩崎を始め、ケイゴからもからかわれる。
 ……畜生。畜生。
 たぶん、僕はこの殺し合いで生き残るなんて絶対無理だろう。



195 :1:2007/01/07(日) 19:59:45.46 ID:s936oG6t0
補足:マタマは男。いじめられっ子。


196 :1:2007/01/07(日) 20:00:32.90 ID:s936oG6t0
 ドアの向こうで、言い争う声が聞こえた。
 拓朗の怒鳴り声。ミサキの声。怒っている時のミサキの静かな声。
 マミが危ない。直感で、そう思った。
 リュックの中をまさぐる。昨夜のうちに弾を詰めておいた小銃、
カラシニコフ。小型なのに威力はあると兄が言っていたのを思い出す。
僕は個室のドアを急いで開け、便所と廊下をつなぐドアのガラスを狙って、撃った。 
 
 ドアの外には、ガラスの破片が少し刺さって、顔から血を流している拓朗。 
 壁に張り付いて呆然としているマミ。 
 そして、血を流して倒れこんでいるミサキ。
 どうやら、僕はマミを助けてみたいだ。
 安心した。僕はマミの肩を叩く。
「お互い生きてて良かった、マミ」
 マミは固まっていた。
 無理もないか。いきなり弾がとんできたんだもんな。
 僕がマミの立場なら驚いて腰が抜けているに違いない。
「……ヒカル?」
 足元から声がした。静かな、震えた声。
「光なの? もう少しで止めをさせたのに、邪魔をしたのは光なのね?」
 早口でミサキが何か言っている。
「死なないよ。私、貴方達を殺して、生き残るよ。絶対、生き残るんだから!!」
 突然、強い力で手を引かれた。
 僕とマミはA階段側に倒れこむ。
「マミ! 玉橋! 危ねぇ!死ぬぞ!!」
 拓朗の怒鳴り声。どうやら拓朗が僕らの手を引っ張ってミサキから引き離したらしい。



197 :1:2007/01/07(日) 20:01:51.98 ID:s936oG6t0
「逃げよ!」
「そうだな! とにかく、逃げよう!!」 
 マミはA階段を登っていく。拓朗もそれに続く。
 ……確か、3階は12時5分から禁止エリアのはずだ。
「逃がすか! 待て! 殺す!! 殺す!!」
 肩から血を流しながら、ミサキがこちらに向かってくる。
 普段なら絶対見せない鬼のような表情だ。
 一度だけ、こんな表情をしたミサキを見たことがある。
 確か小学校の時、瞳と殴り合いの喧嘩をしているミサキはこんな顔をしていた。
 迫ってくるミサキから逃げるべく、僕もA階段を登る。
 登っている間に、気付いたことがあった。
 ……銃を、落とした。
 拓朗に腕を引かれたときに、職員便所の前に落としてきてしまった。
 だが、取りに戻れるわけもない。ミサキが刀を振り回しながらこっちに迫ってきている。

 


198 :1:2007/01/07(日) 20:02:13.85 ID:s936oG6t0
 A階段を登りきる。
 拓朗とマミは、理科室の扉の前で隠れるようにうずくまっていた。
「マタマ! スケミは来てるか!」
「聞かなくてもわかるでしょうが!!」
 マミの問いかけに拓朗が叫ぶ。
 それもそうだな。わかるな。
 さっきから叫びながら階段を登っていたミサキは、もう僕達の目の前に居るのだから。
「……光。あんた、許さないから」
 静かに言い放つスケミ。
 絶体絶命って言葉の意味を、身をもって知った瞬間だった。
 
 ピピピピ ピピピピ
 ピピピピ ピピピピ



199 :1:2007/01/07(日) 20:02:43.43 ID:s936oG6t0
 単調な電子音がすぐ近くから聞こえた。
 皆、自分の首を見ていた。
 その音は首輪から鳴っていた。
「畜生、3階禁止エリアじゃねぇかよ!」
 マミと拓朗は立ち上がって、A階段へ走る。
 だが、ミサキが立ちふさがった。肩で息をしながら、不適に笑っている。
「駄目だよ。あんた達はここで死ぬの。しかも首の爆弾でじゃなくて、私に切られて死ぬの!! 
アハハハハハハハハ!!」
 刀を振り上げるミサキ。動きが止まっているマミと拓朗。
 そして、勝手に動く、僕の体。
 僕は、確かに弱虫だ。
 皆からからかわれる。豚とかデブとか言われる。でも反抗出来ない。怖いんだ。負けるのが。
 でも、変わろう。今、僕はあの二人を助けよう。
 弱虫でも、出来ることがあるんだ。それを証明してみせる。
 かっこよくなるんだ。
 皆を、見返すんだ。



200 :1:2007/01/07(日) 20:03:07.93 ID:s936oG6t0
僕は、ミサキの体に思いっきり体当たりをかました。
 スケミと僕は家庭科室の方に転がっていく。
「な、何すんのよ!」
 ミサキは怒鳴る。わめいている。僕はミサキの体をがっちりと抑える。 
「放しなさいよ! 生意気なんだよ! 死ね! 消えろ! クズ!」
 怒鳴り散らすミサキ。でも僕が抑えているから、動けない。
 死ぬ気でミサキの動きを止めて、僕は叫んだ。
「行って! マミ、拓朗!! 行って!!」
 ピピピピ ピピピピピピピピ 
 電子音が早くなっている。
 拓朗とマミが階段の方へ走っていく。
 あー、これで僕の人生、終わりか。
 僕、かっこよかったかな。マミの助けになれたかな?
 A階段の前で、マミが立ち止まっていた。
「マミ、何やってんだよ! 早く行けよ!」
 しだいに大きくなる電子音に負けないような声で、僕は叫んだ。 
 僕は、マミを助けるんだ。
 僕が、マミを助けるんだ。
 脇腹が痛い。ミサキが、刀を持って、死に物狂いで刺していた。
 痛い。熱い。痛い。生まれて初めて味わう。痛み。
 僕は転げまわった。だけどミサキの体を離さない。



201 :1:2007/01/07(日) 20:03:44.65 ID:s936oG6t0
「行って!!」
「マタマ!!」
 マミが泣いている。
「ありがとう!!」
 僕はミサキを放し、マミの方へ走る。
 そして、突き飛ばす。
 マミは階段を転げ落ちていった。
「……またね」
  電子音が、途切れた。
  

 【20人】  
 

補足:マタマは少しウホッ気味な奴



202 :1:2007/01/07(日) 20:04:53.17 ID:s936oG6t0
<訪問>
 かなり大きい爆発音で、私は飛び上がった。
 そしてドアの方を確認した。
 ……良かった。誰も居ない。
 教卓にふらふらと座り込む。
 疲れた。怖くて寝ることが出来ない。
 ユカが殺される放送。遠くから聞こえる銃声。そして今の爆音。怖すぎる。
 鼻水が出そうになり、私は後ろのロッカーに入っていた箱ティッシュを使った。 
 1年4組に、私植木結は篭っている。
 目覚めたのも1年4組。
 寝ずにずっと机の陰に隠れていた。
 あーミキカ、何やってるのかな。生きてるかな。
 誰かと喋りたい。出来ればミキカが良いな。
「植木ー、生きてるかー!」と声をかけて欲しい。
 そして「うるさい! お前なんて死んでれば良かったんだ!」みたいな感じで少し口喧嘩して。
 一緒に行動したいな。
 実はあの扉のむこうから、覗いてたりしないのかな。
 私は、もう一度扉のガラスを見てみる。
 誰も居ない。



203 :1:2007/01/07(日) 20:05:24.78 ID:s936oG6t0
 むしろ居ないほうが良い。ミキカが居るなんて限らないし、殺される確率の方が高いから。
 憂鬱だ。私みたいな人が、殺し合いなんかで生き残れるわけもない。
 でももしかしたら、ずっとここに隠れれて気がついたら最後の一人になってる、みたいなことがあるかも知れないな。
 そうだと良いな。死ぬのはとても怖い。まだこの世には未練がたくさん残っている。
 
「植木ー」
 扉が音をたてて開いた。
 私は声をあげて驚いてしまう。そして無意識に扉の方を見た。
「……ミキカ?」
「いや、岩崎じゃないよ」
 低い、だけど優しい声。
 小松友也が居た。
 片手にリュックを持っている。彼は私に微笑みかけた。
「生きてるか?」
「う……うん」
 大丈夫だろうか? 小松のことはあまりよくわからない。
 無口で、前田と蔵根といつも一緒に居て、バスケ部だ。
 そのくらいしかわからない。良い奴なのか? 私を殺さないかな?



204 :1:2007/01/07(日) 20:05:55.21 ID:s936oG6t0
 小松は私の方に近づいてくる。
 私はそれにあわせて後へ下がった。
「い、いや。俺武器持って無いから。安心して」
 小松はホールドアップする。
 頭の中では、大丈夫、小松は殺さないと主張する自分と、いやいや安心させて殺す気なんだと叫ぶ二人の自分が喧嘩していた。
「俺さ、武器でおにぎりが5個当たったんだ」
「え?」
 小松がいきなり話すので、聞き取れなかった。
「いや本当に。武器の変わりにおにぎりが5個入ってたんだ」
「え、本当?」
 さっきから声が震える。だが小松に私を殺す気はなさそうな気がしてきた。
 小松はリュックの中をまさぐって、アルミニウムでまかれたおにぎりらしき物体を2個とりだした。  
「だから、おすそ分けに来たんだ」
 毒。
 毒だ。
 毒なんだ。
 私の頭の中の自分が猛烈な勢いで叫んでいる。
 落ち着け私。普段全然私と話さない小松が、善意でおすそわけにくるはずなんてない。ありえない!
 私を毒殺するつもりだ。絶対そうだ。
 どうしよう。どうやって断ろう。



205 :1:2007/01/07(日) 20:06:18.75 ID:s936oG6t0
「いや、毒は入って無いよ。俺すでに2個食べたし。なんなら毒見しようか」
 おにぎりのアルミニウムを剥がすと、小松は一口それを食べて見せた。
「大丈夫」
 そしてその一口食べたおにぎりと、まだ包まれているおにぎりをを私に手渡す。
「植木になんの恨みも無い。殺すわけないじゃん」
 お腹が鳴った。そういえばこの殺し合いが始まってから何も食べていない。
 そして何故か涙がこぼれてきた。
 私は猛烈な勢いでそのおにぎりにかぶりついた。
 味はあまり感じない。少ししょっぱいのを感じる。だが、おいしかった。
「良かった。やっぱり、コッペパンだけだったら腹減るよな」
 私の顔を見ながら小松は微笑んだ。

 


206 :1:2007/01/07(日) 20:06:47.92 ID:s936oG6t0
私は30秒と立たないうちにそのおにぎりを平らげた。
 お礼が言いたかった。危険を冒してまでおすそ分けにきてくれた小松に。
 だがあまり話さない男子にどうやって感謝の言葉を述べればいいのか、わからない。
「……わざわざありがとう」
「いやいや」
 小松は一礼してから、ドアのほうへ向かって歩いていく。
 そしてドアの前で立ち止まる。
「俺さ」
 彼は振り返った。真面目な表情を浮かべている。
「こんな理不尽な殺し合いなんて納得いかないんだ。
だから、皆で助け合ってで生き残る方法を探したい。頑張って、最後まで生き残りた
いんだ」
 そういうと、私の返事も待たずに小松は教室を出て行った。
 あとには、呆然としている私とまだ手をつけていないおにぎりが一つ残された。



207 :1:2007/01/07(日) 20:07:26.42 ID:s936oG6t0
<半端>
「真玉橋光と祐川美沙希が禁止エリアに引っかかって死んだ」
 PSPを見ていた館入が唐突に喋りだす。だがその唐突さにも慣れてきたところだ。
「……禁止エリアに? マタマはわからないでもないけど、スケミがひっかかるなんて信じられない」
「そこがバトルロワイアルの面白い所じゃん」
 さっきの爆発音はそのせいか。ついさっき佐藤知香と潟端翔が長谷に殺されたから、これで生存者は20人か。
 俺は窓の外を眺める。ごく普通の風景が広がっている。
 自転車小屋の前に立っている木が風でゆれている。天気は昨日とはうってかわって晴天。
 雲ひとつない。だが理科で先生が雲が無い日こそ寒いとか言ってたっけ。
「前田」
「何?」
 館入の声がして、俺は館入の方を見る。
「今日は居眠りしないんだな」
「……お前、俺=居眠りとか思ってるだろ」
「そうじゃないのか?」
「馬鹿野郎、俺だってこんな非常事態に居眠りするような愚か者じゃないよ」
「そうだったのか」
 館入は少しだけ微笑む。
 奴の微笑みを久しぶりに見た気がした。



208 :1:2007/01/07(日) 20:07:44.90 ID:s936oG6t0
「さっきからヘッドホンつけて、誰を盗聴してるんだ?」
「近藤」
 近藤、か。
 確か館入は近藤にいじめられていた。
 たまにブチ切れる館入が怖かったのを覚えている。 
「で、何か面白いことやってるか?」
「うーん。予想通りの展開すぎてつまらないかな」
 館入はヘッドホンを頭から外し、俺を手招きする。
 俺は少しためらった。朝聞いた川原の渋谷殺しが頭の中に蘇る。
「俺……いいよ」
「そうか」
 館入はヘッドホンを自分の頭にかけなおした。
 俺は再び窓の外を眺める。
 そういえば、人が全然歩いていない。
 封鎖でもされているのか。
 そんなことを考えた。
 
 そのうち、睡魔が襲ってきた。 
 まぶたが重い。
           


209 :1:2007/01/07(日) 20:08:23.44 ID:s936oG6t0
追記:この中に出演してる俺は誰だかわかるか?


210 :1:2007/01/07(日) 20:09:03.29 ID:s936oG6t0
<激痛>
 畜生、畜生、畜生! 何で俺が。何で俺が。
 こんなはずじゃなかった。
 足があったところから血が猛烈に溢れ出す。
 何で、そんな、嘘だろ?
「あー、ごめん。うちさっきそこに地雷置いといたから」
 さっきから川原がそこで笑っている。
 何も出来ない俺を見下して、笑っている。
 ただ俺は湿布が欲しかった。
 2回の給食室で隠れてると、何か体が熱っぽくなってきた。
 風邪をひいた。体中が心なしかだるい。
 そんで湿布をでこに貼って、熱を冷まそうと思った。
 湿布はどこにあるか考えると、保健室が真っ先に思いついた。
 だから、保健室へ向かった。
 それだけ。
 なのに、いきなり足元が爆発して向かい側の会議室に吹っ飛ばされた。
 猛烈な痛み。やばい、敵が来る。死ぬ。殺される。
 立ち上がろうとした。だが、立ち上がれない。
 足が、無かったんだ。
 足が根元からまるごとなかった。



211 :1:2007/01/07(日) 20:09:34.51 ID:s936oG6t0
「まさか保健室の入り口に地雷がしかけてあるなんて、思いもしなかったでしょ?」
 川原は普段浮かべないニヤニヤ笑いを浮かべている。
 こいつ、こんな奴だったっけ。可愛くて、頭が良くて、男子からモテる。そんな奴じゃなかったっけ?
「痛いでしょ? 苦しいでしょ? そりゃ足が1本ないんだもんね! 痛いに決まってるよ!」
 急に俺の体を痛みが襲った。いや川原に気をとられていて痛みを忘れていた、と言った方が良い。
 猛烈……激烈…死ぬほど…いや、そんな言葉でこの痛みを表すことはできない。
 痛いのだ。とにかく、痛いのだ。生まれてこのかたこんな痛み味わったことがない。
 俺は床をのた打ち回った。
「はははは! 無様だね! 私が手を下さなくても全然OKみたーい」
 川原は保健室の方へ戻っていった。
「じゃあね弘幸。運が悪かったね。アハハハハハ!」
 扉を閉める音がした。
 ああ……誰かこの痛みをなんとかしてくれ。
 足がもげそうだ。もうもげているが、痛い痛い痛い痛い痛い。
 いっそ、誰か殺してくれ。
 痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。
 畜生! イテェ! 痛いんだよ!! 誰か、助けてくれよ! 痛いんだよ!!



212 :1:2007/01/07(日) 20:09:59.79 ID:s936oG6t0
 突然、痛みがやわらいだ気がした。
 視界が白くなっていく。
 
 【19人】




213 :御所:2007/01/07(日) 20:10:10.41 ID:OREBbwCT0
>>209
わからん。誰?


216 :1:2007/01/07(日) 20:12:03.31 ID:s936oG6t0
>>213
男の中であんまり活躍してないやつ
誰かわかったらすごいな…



214 :1:2007/01/07(日) 20:10:33.28 ID:s936oG6t0

<悪夢>
 ボウガンを下ろした。
 近藤はもう死んだみたいだ。
 さっきまで狂ったみたいに床を転がりまわっていたが、今はもうピクリとも動かない。
 ボウガンの矢は近藤の頭に刺さっている。 
 ……瞳も、ひどいことするな。 
 
 琢磨を殺した私は、琢磨の荷物を自分のリュックに入れてあてもなく廊下を彷徨った。
 誰も見当たらない。爆発の音と銃声はしたけど、それ以外は何も。
 皆どこに居るのだろう? 教室の中に入っているのかな?
 何だか、何もかもどうでも良くなった。
 どっと、疲れた。
 私は放送室の前のちょっとしたスペースに座った。そして眠りについた。
 そして、夢を見た。



215 :1:2007/01/07(日) 20:11:01.38 ID:s936oG6t0
 暗いところで、遠藤がこっちを見ている。
 私は遠藤に近づこうとする。だけど、近づけない。
 どんどん遠藤はそっちに行ってしまう。
 どれだけ頑張って近づこうとしても、遠藤は向こうに行ってしまう。
 ……怖かった。
 何だか、遠藤が死んだような気がした。
 行かないで、行かないで! 遠藤、行っちゃ嫌だよ、遠藤!!
 必死で叫んだ。でも無理。遠藤はどんどん離れていく。
 そして、消えてしまう。
 私は、暗闇にポツンと取り残された。

 耳が壊れそうになるくらいの轟音。
 暗闇から学校に戻る。
 すると、近藤と瞳が居た。



217 :1:2007/01/07(日) 20:12:19.20 ID:s936oG6t0
 話の内容から推測して、近藤は地雷を踏んで足が無いらしい。
 狂ったようにもがいている。 
 英語の教科書で地雷を踏んだマラソンランナーが出てきていた。
 その影響か、地雷を踏んでも生きられるのだ、と思い込んでいた。
 だが、そんなに甘っちょろいものじゃないみたいだ。
 確かに生きることは出来る。だが、激痛を伴う。
 近藤を見て、地雷の恐ろしさが改めて感じられた。
 でも、この感じは何だ?
 すぐ目の前に死にそうな人がいるのに。
 まるで映画を見ているみたいだ。



218 :1:2007/01/07(日) 20:12:44.30 ID:s936oG6t0
近藤を痛みから解放してあげた私は、ボウガンをポケットにしまった。
 琢磨の血が少しだがこべりついている。
 ……遠藤を、探そう。
 私は遠藤のことが、好きだ。恋愛感情とかじゃなくて、親友だ。
 リュックを背負って立ち上がる。まず1階を探してみよう。それから2階を探そう。
 神様、お願い。願いをかなえて。
「遠藤が、まだ死んでいませんように」
「あら、千明」
 振り向かなくてもわかった。
 だが振り向いた。予想通り。瞳だ。
「どこに行くの? うちにも教えてよ」
 彼女は微笑んでいる。
 大きい銃を抱えている。
 
 体が、固まってしまった。 
   
 嫌、だ。死にたく、ない。



219 :1:2007/01/07(日) 20:13:25.55 ID:s936oG6t0
 
<放物>
 
 何気なく木工室に入ったのは、やはり正解だった。 
 誰もいないし、凶器が山ほど存在したからだ。
 ノコギリ、カンナ、鉄やすり。
 その他大工用具色々。これで近距離の武器には不自由しないな。 
 あとは桂湖を探すだけだ。色々詰め込んだせいで少しリュックが重くなった。
 私は机の上に寝転ぶ。普段なら怒られるだろうが、今は誰も居ない。少しだけ得した気分だな。
 
 そうだ、私益田奈央は蔵根を殺したんだよな。
 相変わらず殺し合いをしているという実感が沸かない。時計は2時をさしている。
 もう殺し合いが始まって12時間が経つ。だけど、全然わからない。
 夢じゃないかな。まだそう思う。とても長い夢。
 そんなことありえないんだけど、でもそう思ってしまう。
 ……普通こっちの方がありえないんだけどね。バトルロワイアルなんて。



220 :1:2007/01/07(日) 20:14:23.55 ID:s936oG6t0
憲法が改正されたのは、親が言っていた。学級通信にも書いていた。
 だが、まさかその中にBR法が入っていたなんて。両親がちらっと言っていたのを思い出す。
「試験的にBRを日本でやるんだって。岐阜は大丈夫かしらね」
「大丈夫だろ。全国で一校だって首相が言ってたし。こんな田舎の学校が選ばれるわけないよ」
 お父さん。選ばれたんだよそれが。
 私は可笑しくなって一人で笑ってしまった。傍からみたらただの怪しい人だろう。
 だが見ている人など居ない。笑うのを止めた。虚しくなる。

 機械の音。
 音が、聞こえる。
 起き上がって耳を澄ましてみる。
 何かを切るような音。ウィーン。そんな音が聞こえる。
 これは……何の音だろう。
 音の出所は、黒板側の出入り口。
 あの向こう側で、何かが動いている。



221 :1:2007/01/07(日) 20:15:12.61 ID:s936oG6t0
 少し眠たい目をこすり、立ち上がる。 
 次第に恐怖という心が芽生えてきた。
 ……まさか、凶器か。
 誰か居るのは間違えない。
 誰だ。誰が居るんだ。
 冷静に考えてみる。そして、あるものが頭のなかに浮かんだ。
 チェンソー。それだ! チェンソーが動いている。
 向こう側にいる奴は、私をチェンソーで切り殺そうとしてるんだ!
 
 とっさにリュックの中をまさぐる。
 鎌。ノコギリ。鉄やすり5本ほど。
 ……威嚇しよう。
 こっちにも武器があるってことを知らしめてやるんだ。
 そしたら相手も少しは驚くだろう。その時がチャンス。 
 相手は扉の下側に隠れている。だから、扉のガラスを割れば多少ダメージを与えられるだろう。
 ガラスが相手に突き刺さる。そしたらこの部屋を出よう。出来ればあまり殺しはしたくない。
 ……チェンソーの音が耳障りだ。何となくむかつく。
 私は鉄やすりを手に持ち、黒板の横の扉めがけて思いっきり投げつけた。
 放物線を描いて鉄やすりは飛んでいく。少し大きめのやすりだったので飛んでいくか心配だったが、見事扉のガラスに命中した。



222 :1:2007/01/07(日) 20:15:53.92 ID:s936oG6t0
 
「うわっ!」
 ガラスが派手な音を立てて割れる。それと同時に、ものすごい悲鳴が聞こえた。
「ぎゃあああああああああああ! ちょ、な、痛っ! ああああああああああぁぁぁぁぁ!!」
 ガラスが刺さったにしては少し大袈裟すぎるリアクション。相変わらずチェンソーの音は鳴り続けている。
 何かが飛び散る音。味噌汁をこぼしたような、そんな音も聞こえた。
 少し怖くなった。悲鳴が大きすぎる。動物のような悲鳴が私の鼓膜を破きそうなくらい聞こえてくる。
 ……出よう、木工室を。怖い。
 リュックを背負った。武器が増えたせいで、少し以上重くなっている。
 チェーンソーの音は、まだ響いていた。
 
 【18人】



223 :1:2007/01/07(日) 20:16:55.69 ID:s936oG6t0
ちょwwwwwwwwww


224 :1:2007/01/07(日) 20:17:20.39 ID:s936oG6t0
すみません半分から下のファイルがありません
完結してませんこれ



225 :1:2007/01/07(日) 20:17:34.13 ID:s936oG6t0
 
<極端>


 あー。
 私、何やってんだろ。

 大の字になって視聴覚室で寝ていた。
 広々とした部屋なだけあって、開放感がある。
 だが気分は一向に優れない。
 直ちゃんの無表情な死体がまた頭に浮かんでくる。
 ……気持ち悪い。
 私は起き上がった。お腹が減った。
 さっきコッペパンは食べてしまった。水も飲んだ。もう何も無い。
 また大の字になって寝転ぶ。
 ……奈央、何やってるかな。
 ケイコ、アヤナ。何やってるかな。
 生きてるかな。死んでるかな。
 まだ、楽しくやってるかな。
 もしかしたら、もう死んでるかもしれない。
 ……止めよう。欝になるだけだ。



226 :1:2007/01/07(日) 20:18:07.95 ID:s936oG6t0

 扉が開く音がした。
 私はゆっくりと体を起こす。
 本当は逃げるべきなのだろう。銃を構えるべきなのだろう。
 だが、何だか体が重くて思い通りに動かなかった。
 
 目をこすった。
 え、こんなことありえるの?
 もう一度目をこすった。
 それは消えない。
「……あ…あやな?」
 扉の前に立っていたのは、高田彩那だった。
「あやななの?」
 涙がこぼれそうになるが、堪える。
 こんな久々の再開で、かっこ悪いところは見せられない。
 嬉しかった。やっと友達と再会できた。
 仲間割れしたこともあった。けど、仲直りした。 
 かけがえのない、私の友。
 去年の9月にアヤナが転校してきて、気がついたら友達になっていた。
 アヤナは人によく気を使う。そして優しい。たまに毒舌。
 ガサツな私にはないものを持っている人だ。
「生きててよかった!」
「来ないでミキカ!」
 アヤナが叫んだ。
 私は面食らった。



227 :1:2007/01/07(日) 20:18:28.54 ID:s936oG6t0
「ど……どうしたの?」
 アヤナは泣きそうな顔でこっちを見ている。 
「とにかく、来たら駄目!」 
「アヤナちゃん、何余計なこと言ってるの?」
 静電気が流れたような音がした。
 鈍い音とともにアヤナが倒れる。
「言った通りにすればいいのにさ」
 扉から、また新たに人が出てきた。
 ……今度こそ死ぬかもしれない。
 探知機のような小型機械をもったチホと、サーベルを持った奈々子ちゃんがアヤナの体を踏みつけて視聴覚室に入ってきた。
 「ミキカちゃんは、良い人? 悪い人?」
 奈々子ちゃんは微笑む。サーベルの血を舐めながら、微笑む。



229 :1:2007/01/07(日) 20:19:09.83 ID:s936oG6t0

<直感>
 

「喉渇いた」
 遠藤の声で目が覚めた。「喉渇いた」という言葉で目が覚めたのは生まれた初めてだ。
「……水切らしたのかよ」
「いつの話してるのコウタ。もうとっくの昔に切らしてるよ」
 時計を見る。4時ちょっと前。外は薄暗くなり始めていた。
 遠藤が空のペットボトルを指差している。
「水汲みにいかない?」
「危なくないか?」
「何言ってるのコウタ」
 チッチッチと言いながら、遠藤は指を振った。
「その便利マップは何の為にあるのさ」
「あ……」
 そうでした。このマップがありました。1本とられた気分。遠藤は誇らしげに微笑んだ。
「じゃ、行こっか」
「え? 僕も行くの?」
 もう一眠りしたい気分だった。
 あまり睡眠をとっていないので、安全な今のうちに寝ておきたかったのだ。
 だが遠藤は残酷である。
「当たり前じゃん。女の子を護衛するのは男の子って昔から決まってるんだよ」
 そんな決まり聞いたことないぞ。



230 :御所:2007/01/07(日) 20:19:11.38 ID:OREBbwCT0
マジかww

PSPの人か、地図持ってる人?


231 :1:2007/01/07(日) 20:20:03.48 ID:s936oG6t0
>>230
違うっす



233 :1:2007/01/07(日) 20:20:49.24 ID:s936oG6t0
>>230
 屋上で目覚めた人です。



232 :1:2007/01/07(日) 20:20:25.46 ID:s936oG6t0
でも、遠藤一人で出て行ってそのまま殺されるってのは……嫌だな。
 後味悪いし、仲間は一人でも多いほうが良いもんな。
「よしわかった。僕が遠藤の周りに敵がいないか調べるよ。それなら危なくないだろ? 安全に水汲めるだろ?」
「コウタさ……もし誰かが襲ってきたら戦える武器あったっけ?」
「う……」
 そういえば、無い。
 敵が襲ってきたとしても対応できない。津波が来るとはわかっているけど家に居るのと同じだ。
 これじゃ、水汲みどころか生き残るのが不可能になってしまう。
「そ、そういえばさ。遠藤の武器って何なんだよ?」
「遠藤の武器?」
 自分のことを自分の苗字で呼んだよな遠藤って。珍しい。
「催涙スプレー」
「何とも微妙だな」
 しまった。思ったことがそのまま口から出てしまった。
 銃とかナイフとかそういう武器じゃないのか。使えない。
 ……でも無いよりはましか。少なくともDSで殴るよりは使えるだろ。
「よし。じゃその催涙スプレー持って水汲みに行こう」
「おっけー。コウタ、遠藤がピンチになったときは助けてよ」
「逆に僕が助けて欲しいくらいだ」
 マップにちらっと目を通す。
 35分の18。丁度半分くらいが死んでいる。



234 :1:2007/01/07(日) 20:21:13.06 ID:s936oG6t0
 結構ペースが早いな。3階が禁止エリアになったから、2階で殺し合いが勃発してるのかもしれない。
 2階のマップを見ると、瞳と小原の番号がついた点が保健室の前に居るのが目に入った。
 ……異色のコンビだな。
「おい遠藤、小原と瞳が一緒に行動してるみたいだよ」
 何気なく遠藤に声をかけた。
 ドアの前で、遠藤が固まった。
 少し驚く。僕、なんか悪いこと言ったかな?
「……コウタ」
 さっきまでとは、確実に声色が違う声で遠藤が言う。
「2階行くよ」
「は?」
「2階行く」
 遠藤は僕のほうを向いた。
 その目は、怒ったときの中山先生の目に似ていた。
 抗議しても聞いてくれなそうだ。
「……小原のとこに行くのか?」
「早く行くよ」
 遠藤はドアから出た。
 僕も慌ててそれに続いた。
 
 5組から出る時、片手に持った地図をまた見た。
 保健室の前の点が、一つ消えていた。 
 
 【17人】
  


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パッジェーロ!パッジェーロ!
2007/01/08(月) 22:06:09 | URL | by (#-) [ 編集]

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